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Rの付く月雑考

またまたカキの話題です。
Only eat oysters if there is an R in the month.
直訳すると「Rの付いている月のみカキを食せ」です。
言い換えると「Rの付いてない月はカキを食うな」ということですね。結構厳しい言い方ですよね…
どうやらイギリスの諺みたいです。
前回少しカキの旬についてふれてみました
そこで後回しにしたRの付く月について考えてみました。
日本でもよくRの付く月以外はカキを食べちゃダメだよってしたり顔で言う人もいます。
Rの付かない月は5、6、7、8の4ヶ月ですが、そもそもイギリスって高緯度だから、5月でも十分食えるんじゃね?
いくら高緯度って言っても9月でも卵もってんじゃね?
とかとか常々疑問に思っていました。
ましてや自称カキ専門家さんやらwikiの記述はあてになりません。


この諺そもそもマガキに当てはまるのか???
というよりマガキの諺か???

欧米では生殖巣の食感が好まれ、夏でもカキを食うし、日本だってイワガキの旬は夏です。

では欧米、特にヨーロッパでマガキが食べられるようになったのはいつからかということになるのですが…
実は日本は過去100年近くマガキの種苗(小さいカキで養殖されて、半年~1年半くらいで食用となるもの)の輸出国でした。アメリカへ輸出がはじまったのは明治時代、当初はカキの輸出だったのですが、その後種ガキの輸出がメインとなり、WWIIで5年くらい中断されたものの、終戦後再び輸出が再開され、昭和50年代の半ばに終焉を迎えました。
ヨーロッパ特にフランスへの輸出は昭和40年頃からはじまり、40年代の後半にピークとなりアメリカへの輸出が終わるころ程なく終わりました。
これは現地でマガキが根付き、天然採苗や人工採苗により容易に種苗が確保できるようになったからです。
日本のカキの採苗(種苗を作ることね)のピークでは、単純に比較できないですが、今の3倍くらいは採苗されていたみたいです。
まあ、当時の輸出の単位が箱で、当時はカキ殻を使った採苗が行われていた(今のメインはホタテ殻です)のであくまで単純比較はできませんが。

つまり、ヨーロッパへマガキが入ってまだ50年程度しか経っていないんですね。

で…このRの諺…
詳しく書くと年齢がばれてしまいますが、30年ほど前のガキのころには日本でも広く一般的に普及していました。
十分普及するのに現地で10年くらいはかかるでしょうし、それから日本に入ってガキでも知っているくらいになるにはそーとー時間がかかりますよね。
つまり…
かなり古い諺なんですねぇ…
実際欧米のサイト見ても必ず形容詞でoldが付きますし。
と言うことはマガキについてじゃないんじゃね???
ってことです。

じゃあ何のカキなの?

ここまで書くと少し知識のある人なら思いつくでしょう。
実はマガキが入る以前のヨーロッパのとりわけフランスやら、オランダやら、ベルギーやら、イギリスやらの高緯度地域では違うカキが食われていました。
日本名ではヨーロッパヒラガキと言われているカキです。
学名ではOstrea edurisと言います。
フランスガキとかブロンとか言ったほうが聞き覚えがあるかもしれないですが。
ちなみに日本にも近縁種でイタボガキOstrea denselamellosaというカキがいます。
これはイタボガキ属のカキです。

もう一つ、世界で最も食べられているマガキCrassostrea gigasとか、
日本で夏に食べられるイワガキCrassostrea nipponaはマガキ属ですから結構違う種類です。
たとえて言うならアサリとホッキガイ(ウバガイ)くらい違います。

で、このヨーロッパヒラガキですが、実はマガキが導入される少し前、とある病気(ボナミアとかマルテリアといった原虫症)で壊滅的被害を受け、現在もほとんど生産されていません。

でも、この諺はそーとー古いんだし、この諺が言うところのカキは…

ヨーロッパヒラガキでしょ、おそらく間違いなく。

このマガキ属とイタボガキ属の大きな違いは
それは…
味www、とにかく渋い(辛い?)、もちろんオリンピアガキみたいにあんまり渋くないのもいますね。
というのはおいといて;;

産卵方法が全く違います。
マガキ属は雌雄別で海中に卵と精子が放出され、それが受精し、発生し、1日ほどで殻を持った幼生に変態し、約10~3週間くらいかけて0.3mmくらいまでプランクトンとして泳ぎまわりながら成長し、その後付着します。まあ期間は水温やら餌次第なのであくまで参考に。
一方、イタボガキ属は、基本雌雄同体で、他の個体の精子を受け取り、殻の中で自分の卵と受精させ、発生させて0.2mmくらいの大きさまで親の殻の中で成長させます。卵胎生という言われ方もされますが、厳密には鰓の表面に付いているので胎生という表現には違和感を感じますが…
当然、発生の過程はよく似ていて、受精後およそ1日くらいで殻をもった幼生になります。
これが産卵期の間続きます。
産卵期は水温にもよりますが、マガキよりは1ヶ月くらい早いです。

これで少しずつ違いがわかってくると思いますが…
つまり、産卵期のヨーロッパヒラガキの鰓には、この殻を持った幼生がびっしり付いているわけです。
まるで砂でも付いているみたいに…
そして、幼生は殻を持ってますから、食べるとじゃりじゃりします。
なので、見た目も悪ければ、食感も悪い。
さすがにこれは食べられんでしょう…

ということで、長々と書きましたが結論です。
1.Rの付く月以外は食べるなという諺は、ヨーロッパヒラガキのこと。
2.この時期はこのカキの産卵期で、身体(鰓)に幼生が砂みたいにびっしり付いていて、見た目も悪ければ、食感も悪い。

3. だから先人はかなり強い口調で忠告している。

ということで、Rが付いてない月でもマガキ属は食べることには問題ないでしょう。美味しいかはおいといて。
ただ、水温が高いとビブリオとかの食中毒の危険性があるので、気を付けて食ってくださいな。
DSCF0926.jpg


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森でひっそりと咲いている春蘭ってきれいですよね…
あんまり本文とは関係ありません。
少し思ったことを不定期で更新しています。
毒舌も入るかもしれないですが、あまりお気になさらず。

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